開業に必要な最低資金

開業に必要な最低資金

飲食店をこれから開業したいという方にとって、開業資金は非常に重要です。特にどの程度資金が必要になるかというのは大きな問題ですが、これはお店の業態や経営方式によって大きく異なってきます。

 

資金ゼロでの開業

資金ゼロで飲食店を開業するというのは、絶対にオススメできません。

 

飲食店営業許可申請の依頼をしてくださった方で、当事務所にその分の報酬を支払うことができるという場合であっても、開業資金はほとんどゼロという方は基本的にお断りしています。これは、開業ができないからというわけではありません。所定の報酬を頂ければ、営業許可の取得を致しますので、飲食店の開業を行うことはできます。

 

しかし、経営を行うことは不可能です。

 

表現は粗くなってしまいますが、「お店を開いて終わり」ということになります。これは、お店を経営する(=継続して営業を行う)には、ある程度の資金が必要となるからです。当事務所に報酬を頂ける資金があるとしても、その後お店を経営する資金がないという場合には、お店と依頼者の方のことを第一に考え業務を受けないことにしております。

 

 

開業に必要な資金

それでは、開業にはいくら資金が必要となるのでしょうか。一般的な中小規模飲食店の経営に必要となる資金は例えば以下のようなものです。

 

・材料費(食材費など)
・人件費(パート・アルバイト費用など)
・土地、店舗賃借料
・水道光熱費
・広告宣伝費(グルメサイトへの掲載、チラシ代など)
・専門家費用(申請代行や会計記帳に関する報酬など)

 

このような資金が店舗の実態によって発生します。特に大きな支出となるのが、上から3つの「材料費」「人件費」「賃借料」です。飲食店経営において発生する支出の中でもこれらは大きな金額を占めるケースがほとんどです。ちなみに、「売上高に対する材料費+人件費」の割合は60%以下、「売上高に対する材料費+人件費+賃借料」の割合は70%以下であることが望ましいとされています。(それぞれ、FL比率、FLR比率と呼びます)
またこれとは別に調理機材や机・イスなどの購入も行う場合、これに加えて数100万円〜数1,000万円の初期投資が必要となることもざらです。

 

 

ここでもう一つ注目すべきは、飲食店の資金流入・流出のタイミングです。
飲食店は「掛仕入・現金売上」という形式をとることが殆どです。つまり、出金より入金のタイミングが早くなります。「食材を掛けで仕入れて、お客さんからは現金で食事代を受け取る」というのが代表例です。実際に、他の業種と比べて必要となる運転資金の金額は少ないと言えます。(運転資金とは、事業の継続的経営に必要となる資金です。日本政策金融公庫の2017年度「小企業の経営指標調査」によると、飲食店の運転資金回転期間は負の値であるため、出金に入金が先行することが伺えます)

 

 

しかし、運転資金が少なくて済むからといって、設備投資などの初期投資の分以外に資金余裕を持たずにお店を開業することは大変危険です。
開業したばかりはお客さんの入りが少ない、もしくは波があるケースが多く、安定的な収入の見通しはありません。個人的意見としては、最低でも3か月間来店が顧客ゼロだったとしても経営が揺らがない程度の資金的余裕が必要だと思っています。開業資金がそれを下回っているという場合、安易な開業はおすすめできません。

 

もっと具体的に開業資金の金額を分析して欲しいという方は、「収益シミュレーション業務」の御依頼を頂ければと思います。収益シミュレーションとは、お店を開く前の段階で、今後どの程度お客さんが来店するか、年間売上はいくらか、どれだけの利益が見込まれるかをシミュレーションすることをいいます。開業前の段階でこのようなシミュレーションを行うことは非常に重要であり、また開業に必要となる資金も見通すことができます。

 

 

開業資金の調達方法

開業資金の調達方法として最も大きなものは、「自己資金による調達」と「銀行借入による調達」この2つです。どうしても店舗経営をしたいが自己資金が足りないという場合は、銀行借入による開業も視野に入れるべきです。事業者として銀行借入を行うには、経営計画の策定や資金繰り表の作成、銀行員との折衝が必要となりますが、当事務所はこれら一連の業務を引き受けております。お気軽にご相談ください。

 

ちなみにとなりますが、補助金は開業資金の調達方法ではありません。

 

「開業資金が足りないなら補助金申請を検討しましょう!」と謳っている経営コンサルタントなどもいますが、これは大変危険です。

 

まず、補助金はもらえるより先に経費分の支払いをしなければいけません。つまり、開業資金がゼロの状態で補助金を申請したとしても、ゼロの状態で支払いを先にしなければならないのです。つまり、タイミングの問題から開業資金ゼロの状態で補助金を活用することはできません。

 

また、補助金は必ずもらえるわけではありません。補助金の採択率(もらえる確率)は種類にもよりますが、20〜70%程度です。つまり、30〜80%の確率で受け取ることができません。補助金申請は質の高い計画書・申請書を作成した事業者などが優先して採択される仕組みのため、このように受け取ることができない事業者も当然でてきます。そして最も怖いのは、補助金ありきで開業をしてしまったケースです。開業に関する支払を後々もらえる補助金で賄おうというような計画で開業した場合、補助金の採択が通らなかっただけで経営が大きく傾くことになります。
補助金は、ある程度の資金的余裕をもった状態で計画するものなのです。

 

 

開業資金に関するお悩みは当事務所にご相談ください

ここまで、開業に必要な資金について説明しました。開業には多かれ少なかれ費用が発生します。特に、実店舗を持って料理を提供するという飲食店では、このような費用の発生を避けることはできません。十分な資金計画を立てた上での開業が重要となります。

 

当事務所では、営業許可申請の代行だけでなく、上記説明のような「銀行借入に関する支援」「補助金申請支援」「経営コンサルティング」などを業務として行っております。開業から店舗経営に至るお悩みを解消し、事業成長の一助となれればと思っております。

 

ご依頼やご相談は、メールからお待ちしております。

 

 

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