飲食店の開業収益シミュレーション
当事務所は、これから開業する飲食店・サービス店の売上・収益シミュレーションを行っております。
これからお店を開業する方は、「美味しい料理を作りたい」「サービス提供を通してお客さんを笑顔にしたい」「地域を活性化させたい」などたくさんの目標や夢があることかと思います。このような思いは、お店を経営していく上で重要なものです。しかし、これらの目標を達成し、夢を実現していくためには、「事業で適正な利益を得ること」が必要不可欠です。お店から利益を得ることができなければ、お店をたたむしかないからです。
開業前シミュレーションの重要性
飲食店等は全業界の中でも廃業率が最も高く、入れ替わりが激しい業界です。開業したのにすぐ潰れてしまうお店も珍しくありません。
このような業界の中で経営を続けていくために必要不可欠なのが、「収益の事前分析」言い換えれば「収益シミュレーション」です。
開業したのにすぐにつぶれてしまうお店は、ほとんどの場合このシミュレーションが甘いのです。売上・利益が獲得できるかよくわかっていないのに借金を背負ってお店を開くというのは、厳しい言い方となりますがギャンブル以外の何物でもありません。今の時代は、おいしいものやサービスが、手軽に、低価格で手に入ってしまいます。美味しい料理やよいサービスを提供するからといって、お店が十分な利益を獲得できるとは限らないのです。
そこで、この記事を読まれている方も、ネットで「飲食店 シミュレーション」などと検索されたことも多いかと思います。実際に、検索してこの記事にたどり着かれた方もいらっしゃるかもしれません。そういった方ならお分かりかと思いますが、ネット上で飲食店経営を無料でシミュレーションできるサイトがいくつかあります。しかし、そういったサイトのほとんどは費用(コスト)のシミュレーションがメインとなっています。売上高は、確定した数値を入力する形式です。つまり、開業した後に売上高が分かった段階でのシミュレーションを前提としているのです。
個人的な意見ですが、これではシミュレーションの意味がないと思います。あくまでも確定した数値から利益を計算するだけであり、「予測」ではなく「確認」なのです。
何よりも大事なことは、お店を開く前の段階で売上・利益のシミュレーションを行うことにあります。
もし、開業前の段階で「この状態で開業しても十分な利益を得ることができない」と分かれば、お店のコンセプトを変更したり、レイアウトを考え直したり、大胆に開業時期を変更したりと、様々な対応策を打つことができるからです。もし、開業後にこれが分かったとしても、打てる手は非常に限られてしまいます。
お店を開業する前の段階で売上・利益のシミュレーションを行うことによって、早い段階で戦略立案ができ、対応策を実施し、開業リスクを低減することができるのです。
収益シミュレーションの内容
当事務所は「経営コンサルタントの国家資格者」として、高品質な経営シミュレーションを業務として行っております。
ここで、具体的にどのようにシミュレーションを行うか、一例を説明いたします。
シミュレーション事例
ここで事例として、とあるテレビ番組で開業する若者が紹介されていたケースを取り上げてみます。ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
概要を説明すると、
・ケーキ店を個人で開業する
・開業する町の人口はおよそ500人
・観光名所が近にあり、外国人観光客が一定数訪れる
・開業資金はおよそ650万円
このような形での開業です。もちろん、番組内容は売上のシミュレーションなどではなく、この開業される方の夢や背景などの紹介でした。
では、上記情報を基に売上・損益のシミュレーション(見込み財務分析)行ってみたいと思います。
※あくまでも、上記情報に基づいた経営分析上の事業予測となります。番組で紹介された個人の意思や主張を否定するものではございませんので、ご留意ください。
収益シミュレーション
まず、収益について分析・シミュレーションを行います。
売上に関するシミュレーションは、シミュレーション全体の中で最も重要です。
費用(コスト)のシミュレーションは比較的簡単ですが、売上については専門的知見が無ければ難しいからです。
最初に、「お店にどれだけの来客が見込まれるか」をシミュレーションします。(これを、商圏分析と言います)
上図は、店舗を中心とした「車両到達10分圏内(1次エリア)」「車両到達20分圏内(2次エリア)」のマップです。山岳地帯のため、お客さんの来店手段は車として考えます。この赤枠で囲ったエリア内(=商圏内)の住民が、当店の見込み顧客となります。
一方、1次エリアと2次エリアには次のような違いがあります。
・1次エリアには自店舗以外に類自店舗(洋菓子屋)がないため、自店がシェア100%を握れると考えられます
・2次エリアには自店舗以外に2つの類自店舗が存在するため、シェアを33%しか握れないと考えられます
では、このエリア内にどれだけの人が住んでいるのかを分析していきます。
上図は、店舗(この事例は和歌山県です)周辺の1次エリア、2次エリア内の人口規模を、年齢層別に示したものです。
ケーキなどを日常的に食べられる層を10〜69歳と仮定すると、1次エリア内の人口は904人、2次エリア内の人口は1,392人ということが分かります。ここで、先ほど説明したように2次エリアは33%しかシェアを握れないことを考慮し、店舗の見込み客は以下の式で求めることができます。
店舗来店客数=904+(1,392-904)×33% ≒ 1,067人
これで、お客さんの数を求めることができました。(駅やバス停と熊野本宮大社の動線上に当店が立地していないため、また当店は客席数が4席程度でありテイクアウトがメインであるため、観光客の来店は見込めないと考えられます)
では、この人数をベースに、店舗の売上高を求めていきます。人数が算出されたため、1人当たり何円の買い物をするかが分かれば、売上高を求めることができますよね。
ここでベースとなるのは、総務省「家計消費状況調査」です。この調査データより、1年間あたりの洋菓子への支出金額は、1人当たりおよそ6,558円であることが示唆されます。
(「カステラ」「ケーキ」「ゼリー」「プリン」「他の洋生菓子」の合計を世帯1人当たり消費量に換算して算出しております)
以上を踏まえると、この店舗の年間売上はおよそ700万円であると算出されます。
(ケーキ屋という特性上、消費期限の問題から通販での売上は見込まないとします)
計算式は以下の表をご確認ください。
少し複雑になりましたが、以上が収益シミュレーションの手法の1つとなります。
一般的に「売上をシミュレーションする」というと、客席や客の回転率から売上を算出するケースが多いです。一方、そのような算出では「本当にそれだけのお客さんが来るのか?」という根本的な部分を説明・予測することができません。
このように、統計データに基づき「年齢別人口」「商圏内シェア」「国民1人あたりの消費額」を考えることで、「潜在的消費金額(=お客さんがどれだけお店に来てくれるか)」を算出し、売上高を予測することができるのです。
費用分析
費用の分析・シミュレーションは、売上に比べてシンプルです。店舗の営業形態によって費用の金額はほとんど確定するため、収益のように統計データやここでは比較的金額が大きいであろう項目として、「人件費」「家賃」「原材料費」「支払利息」「水道光熱費・修繕費・広告宣伝費」の5つに絞り試算してみます。
人件費
個人での開業であり、従業員も雇わない模様であるため、人件費負担はありません。
家賃
店舗は賃貸物件であり、月当たりの賃借料は22,000円程度と放送で紹介されていました。
したがって、1年あたりの家賃は22,000×12=264,000円です。
原材料費
ここで、この店舗が提供するケーキの原価率を30%と仮定します(一般的な飲食店の原価率は30%程度です)。実際に原価率を算定する上では、売れ行きの大きい商品の原価率を把握し、加重平均によって事業全体の原価率を算定するような方法が一般的です。
この事業は収益(売上)の全額が洋菓子売上として試算していますので、
売上×原価率=原材料にかかる費用
となります。
したがって、1年あたりの原材料費は3,280,000×0.30=984,000円となります。
支払利息
このケースの場合、融資を日本政策金融公庫から受けているとのことでしたので、日本政策金融公庫の担保不要融資基準金利である2.16%を採用することとします。
基準金利は時期によって異なりますので、あくまで目安として捉えて頂ければと思います。
650万円の借入額を10年で返済する場合の支払利息を概算すると、1年あたりの支払利息はおよそ77,000円となります。
水道光熱費・修繕費・広告宣伝費
これらの金額は、店舗ごとに大きく異なるため、概算が困難でもあります。放送された内容から店舗の実態を判断することは難しいですが、飲食店であるため水道光熱費や修繕費にはある程度の金額がかかると想定されます。一方、立地上商圏が狭いため、広告宣伝費はあまり発生しない可能性もあります。
ここでは、月当たり合計で3万円程度発生するものと想定します。
以上を基に、収益と費用から利益を算出します。
利益の算出
ここまでの収益・費用のシミュレーションをまとめたのが以下の表です。
上記より、1年間あたりの可処分所得はおよそ180万円となることが予測されます。
可処分所得とは、自由に使えるお金のことです。180万円を大きいと考えるか、小さいと考えるかは人それぞれです。住む地域によっても変わってくることでしょう。しかし、あくまで一般論でいうと、大きな借金を背負ってこれだけの利益しか出ないというのは、残念に思われる方が多いのではないでしょうか。
一方で、小さいながらも利益が出ているので、この開業は成功と言う事もできます。
実際にシミュレーションをしてみると、残念ながら開業前から赤字が確定してしまっているようなお店も多々あります。私が今までこのケースで一番見てきたのは、「小規模のカフェ」です。小規模のカフェはお客さんの回転率が低く、客席数が少なく、またカフェブームにより競合が多く商圏内シェアを十分に握ることができず、大赤字となるケースが非常によくあります。そして、そのようなケースは開業前から赤字が確定している場合がほとんどなのです。
シミュレーション結果の活用
ここまで、とある開業事例から、開業に関するシミュレーションを説明しました。シミュレーションにの活用方法は大きく以下の通りです。
・開業にどれだけ資金が必要か、借入資金をどれくらいで返済できるのか判断が可能となる
・早い段階で損益を把握することで、実情に沿った販売戦略や集客戦略を立てることができる
・最悪のケースである「開業前から赤字が決まっている」状態を回避することができる
・開業時期や店舗コンセプトを見直すという選択肢も取ることができる
このように、シミュレーションの結果は店舗経営の様々な場面に活用することができます。依頼者の方にとって大一番であろう開業を成功させるためには、このような「開業前」の段階での分析作業が欠かせないのです。
私は、開業・起業において何より重要なことは「開業前にその採算をシミュレーションする」この1点に尽きると思っています。
開業・起業で成功するためには、このような採算に関するシミュレーションや顧客ニーズの分析など、経営の視点が必要不可欠なのです。
「一か八かでやってみる」
「試算では赤字でも、上手くいくかもしれない」
否定はしません。しかし、銀行から資金を借りてまで起業・開業をする場合、失敗することはできません。万が一失敗してしまった場合、保証人の方へ迷惑がかかってしまったり、自己破産となったりという未来が待っています。
絶対に失敗してはいけないからこそ、このような事前の分析・シミュレーションは非常に重要といえるのです。
売上・収益シミュレーションの料金
ここまで説明したようなシミュレーション業務に関する料金として、当事務所は以下の金額を頂いております。
シミュレーション業務:1つの事業につき15万円(税抜)
開業・起業前の15万円は大きな出費であり、もったいないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このような分析を専門家へ依頼することで、事業の経営上のポイントを知ることができ、なにより黒字化が見込めない場合の店舗開業を踏みとどまることができます。
絶対に失敗できない開業・起業であるからこそ、専門的知見からの分析・シミュレーション結果を参考にすることにより失敗リスクを低減すべきであると考えております。
なお、分析開始から結果報告までの期間は2〜3週間となります。結果報告は、依頼者の方への分析資料提供(10〜15枚程度)と1時間程度の結果報告会を行う形となります。お気軽にご相談頂ければと思います。
なお、このシミュレーションは店舗開業前のメニューとなっております。(開業後にシミュレーションをしても意味が薄いためです)
開業前のメニューには、シミュレーション以外にも、
・銀行融資支援(銀行借入が上手くいかない、計画書が書けないという方の支援、銀行へ同行します)
・補助金申請代行(依頼者の方に最適な補助金を紹介、計画書の作成を代理します)
などを扱っておりますので、詳しくはタイトルクリックからご覧ください。
また、開業後に経営に関する御依頼を頂く場合は、「経営コンサルティング(売上拡大、顧客増加、財務分析など)」という形で受けておりますので、詳しくはタイトルをクリックしてください。
飲食店の収益シミュレーションはお任せ下さい
飲食店やサービス店の収益シミュレーション業務について、当事務所の特徴は大きく以下の3点となっております。
このように、申請手続きの専門家である行政書士としてだけでなく、企業経営の専門家・国家資格者である中小企業診断士として活動しているため、品質の高いシミュレーションを行うことができます。このような経営コンサルティングは行政書士業務とは大きく異なるため、一般的な行政書士では対応できないケースがほとんどです。当事務所は、双方の知見経験を活用し業務を遂行致します。
飲食店やサービス店の業界は入れ替わりが厳しく、開業後すぐに経営が立ち行かなくなるケースも非常に多いです。一方で、しっかりと売上・損益についてシミュレーションをしておくことで、早期の対応策実施や採算の合わない事業の見送りなどを行うことができます。
依頼者の方の事業・店舗をしっかりと分析、シミュレーションを行うことで、事業成功の一助となれればと思っております。
飲食店・サービス店の収益シミュレーションは、ぜひ当事務所にお任せ下さい。
収益シミュレーション業務のご依頼やご相談は、メールからお待ちしております。